Concerts in Japan

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コンサート・ピックアップ 『音楽現代』 2004年2月号 P.144

相曽賢一朗と中村明一が天覧演奏!

◆「創立250周年記念大英博物館の至宝展」
エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団
記念レクチャーコンサート
〜大英博物館が生まれた頃の音楽〜

 東京都美術館で開催中の「大英博物館の至宝展」の記念イベントとして、初来日中のイギリス古楽界の雄、エイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団によるレクチャー・コンサートがこのほど開催された。
 このオケと関係の深い英国在住のヴァイオリニスト相曽賢一朗の司会進行で、前半はまず楽員を中心に当時の楽器の紹介や奏法の違いなどを解説。
相曽:それではまずピリオド楽器使用について説明して下さい。
楽員:曲が作られた時代に作曲家がどういう音を聴いていたか、どういう音をイメージして作曲していたかを再現したい。そこに意義があると思います。
相曽:次にこのオケの特徴をお訊きしたいと思います。
楽員:まず雰囲気が違いますね。このオケは創立当時から友人同士の自主運営オケですから団結意識があって、とても親密な雰囲気があり、いい演奏ができる
 ……
 次にレパートリーが17世紀初頭からワーグナーまで及ぶ事や共演した指揮者ブリュッヘンやラトルについてひと鎖あり、リーダーのヴァイオリン奏者キャサリン・マッキントッシュが現代楽器とピリオッド楽器の違いについてピッチの440・と430・の違いやフレージング、アーティキュレーション等々、実際に音に出して相曽の持つ現代楽器と比較して説明。さらにフルート奏者リーザ・ベツノズィウクが最初は銀でできた楽器を使用していたが木で出来たフルートの音に魅せられてしまい吹くようになった事、昔は黒檀、柘植、陶器、ガラスなど様々な変わった材質でできたフルートがあった事などを語った。
 そして古典から現代物、ニューエイジのバンドkokooなどで活躍する尺八奏者、中村明一が登場。シルクロードを経由しての伝来以来の尺八の歴史を解説し、純音からこの楽器ならではの風のような音まで色々な音を実際に出してみせ、「日本人が作ったシンセサイザーのような楽器」(中村)の真価を披露。何とフルートとデュエットで「魔笛」のパパゲーノのグロッケンを聴いたモノスタトスの手下が踊り出す場面の合唱を演奏した。

 後半は何と天皇皇后両陛下がお出まし! 御前演奏となった。98年の両陛下御訪英の際、相曽は英王室晩餐会で演奏したことがあると聞くが、演奏曲目はまずモーツァルト/フルート四重奏曲第一番ニ長調K285でもちろん古楽器演奏。最後は柿沼唯の瀧廉太郎の主題による尺八、ヴァイオリンと弦楽のためのセレナード「桜に寄す」で、英国ではこの日と同じメンバーによる「ジャパンフェスティヴァル2001」を含め既に三回にわたって演奏されBBCラジオでも全国放送された由、日本ではこれが初演となる。「荒城の月」のテーマに基づいたこの曲は弦楽器のみによる墨絵のような素朴で純粋な音響美を持ち、相曽のヴァイオリンが呻くように歌い始めると中村が客席横からゆっくり登場。ステージ上に上がりヴァイオリンと対話する。肝腎の「荒城の月」は背景のオケに片鱗を見せるのみで、秘すれば花? さらにワビサビの世界がもう一段の幽玄な盛り上がりを見せると、遂に満を持したオケが「荒城の月」の出だしを情感たっぷりに演奏したが、この一瞬は印象的。ヴァイオリンが引き継ぐと満開の懐しさの中、尺八は再びステージ下に下りて客席横に去って行き、後ろ髪を引くように終わった。
 この日は相曽の帰国リサイタルの翌日だったが、その後OAE来日公演にもアシスタントコンサートマスターとして参加し相曽は帰英した。それにしても最近の相曽は進境著しい。両陛下には相曽のリサイタルにも是非足をお運びいただきたいものである。(11月2日、東京都美術館講堂)(浅岡弘和)



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